患者さんのこと その7 最終話

服用されて半年位経った頃、お母様より「息子の背が伸びたような気がする。」と言うお話がありました。

もう大学を受験しようかという年齢の息子さんです。高校生の頃のように朝起きて来ると伸びているといった年齢ではもちろんありません。

その真意は、ひどくなってから9年、5か所の耳鼻科を廻られて、慢性化して、ひどい頭痛が出る程鼻詰まりがひどくなっている訳ですから、抗生剤、抗炎症剤、他多くの薬剤投与を受けられた結果、主に消化器が疲弊しておられたのだと思います。

消化器の負担がなくなって、丸めていた背中が伸びた結果、お母様には息子の背筋が伸びたように見えたのでしょう。

後で伺うと、漢方薬を飲む前はレントゲンを撮ると、副鼻腔から眉間まで膿で真っ白だったのが、眉間に僅かに残すのみというところまで改善して、久しぶりに診て頂いたドクターが大変驚かれていたと伺いました。

約10年、初めはきっちりと毎日、後半は維持量に落として、続けられました。

出発点は、急性のアレルギー性鼻炎でらしたのでしょうが、何年も何年も繰り返して慢性化して重篤化して行かれたのだと思います。

お母様と電話でお話する時、つい昨日の事のようにその時の事が思い出されます。

彼の職業選択にまで、もしかすると彼が漢方薬を服用して得た経験が生きているかも知れないと思う時、この仕事の意義、人との縁の不思議を感じずにはいられません。私も頑張らなくてはと、思うのです。