患者さんのこと その2 最終話

この後この方はずっと同じ処方を平成30年まで続けられました。年齢が上がるにつれての血圧の上昇が心配だったので、もし上がって来たら、その時は血圧を考えた処方に変えるよとお声がけして観察していましたが、その様な事もなく、バドミントン愛好家の彼女が今まで仰らなかった腰痛、膝痛を何回か訴えた令和元年からメインの婦人科の処方を、神経痛、筋肉痛の処方に変えて痛みもなく元気に服用されています。

漢方薬というのは、その方の人生のステージが変わる度に微調整しながらずっと一緒に走り続けるお手伝いが出来る物と思っています。現に私どもにはそうやって変わっていく体調にあわせて長く服用されておられる方が少なくありません。

今回のこの方に嚢胞が大きくなってもある程度の確信があって、必ず小さくなるから続けてみてと言えたのは、この方から遡る事5年位前にC型肝炎の患者さんをお受けした事があったからです。キャリアのまま妊娠出産して、肝機能の数値が三桁に跳ね上がっていました。

C型肝炎に効果のある漢方薬というのも難しいので、田七(でんしち)や牛黄(ごおう)、チトクローム製剤を使っての投薬でしたが、やはりこの方が右肩下りには数値が下がりませんでした。一度上がってそれから二桁まで戻りました。この事があったのでそう申し上げられたのだと思います。

漢方薬の効果の現れ方の妙というか、この2つの事例はとても勉強になりました。