患者さんのこと その3 第二話

1ヶ月後のご予約日、「平常心でいられるようになった。癒しの音楽を癒しの為ではなく、ただ音楽を聞きたい為に聞くことができる様になった。」と仰いました。そうは仰っても、まだ、度々吐き気をこの頃訴えておられたので、漢方薬、病院の薬を服用されていても、安全に服用出来る胆汁製剤の胃腸薬をお勧めしました。

2ヶ月後のご予約日、2日に一度服用していたコーラをやめた事、ストレスが溜まりにくくなった事、お酒は飲まない方が調子が良い事などを話してくれました。そしてお母様より、彼女が今月半ば過ぎには、グループホームに入所すると言う事をお聞きしました。びっくりしている私にお母様が仰いました。「40歳直前の今なら、この子も自立出来る。このまま一緒に暮らして、私も娘も歳をとって行って、障害のあるこの子を抱えて共倒れになるよりは、今なら私もまだまだ動けるから(行動的で、本当に進歩的で素晴らしいお母様ですが、この段階で70歳です。)と。

お母様の覚悟、それに応えようとする彼女に私は胸がいっぱいになりました。グループホームに入ってからも、やっぱりちょっと無理をすると、気持ち悪くなったり、目がボヤッとしたりがあったようですが、ひどい時は胆汁製剤の胃腸薬を飲んだり、結構部屋の片付けが彼女には効果があるようで、当時の彼女が私に書いてくれた日常の記録を読むとそんな事が読み取れます。

4ヶ月後には「目もいくらか楽になりました。」と言ってくれました。そして、半年後、目の違和感の回復に3時間くらい掛かっていたのが、30分から、1時間で元に戻るようなり、年末を迎えます。    

つづく